『キャベツの芯がやわらかくなるまで』

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第9回

山間部の霊場を歩いていると、白装束で白いヒゲをたっぷりたくわえ、大きな木の杖を手にした老人が現れた。

「私は仙人。この世のことは何でもお見通し。お主の旅の目的を当ててみせよう。」

そう言って仙人は、あいている方の手で印を結び、何かをぶつぶつ呟いた。

「うむ。見えた。お主はキャベツの芯を求めて旅をしているのであろう。
キャベツの芯がたくさん手に入るところは…トンカツ屋。
お主はトンカツ屋へ向かうのがよいであろう。」

満足げな仙人。

「『キャベツの芯』は合っているのですが…あとは外れです。
キャベツの芯を求めて旅しているのではなく、キャベツの芯の使い道を求めて旅をしているところです。」

仙人は動じない。

「そうかそうか。まあ、それだけ合っていれば、ほとんど当たりと言ってよいかの。
では、私は修行せねばならぬので、さらば。」

プラス思考な仙人は、雲に乗って飛び立った。

山間部の霊場を後にした。

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