『キャベツの芯がやわらかくなるまで』

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第4回

カルチャーセンターに華道家がいた。

「いけばな教室への飛び入り参加、歓迎いたします。
今日は、みなさんに自分で一つはお花を用意してきてもらっています。
あなたは何を持ってきましたか?」

「キャベツの芯。」

少し遠慮がちに取り出す。

「素晴らしいお花ですね。ぜひともそれを生けてみてください。」

前向きな評価をもらい、キャベツの芯も使って、生けてみた。

真ん中にキャベツの芯を据え、周りを色とりどりの枝や花で取り囲んでいく。
キャベツの芯は、枝や花の隙間から垣間見える。

「華やかに仕上がりましたね。これはどのようなものを表現されているのでしょう?」

「言ってみれば、この世の真理。
それはすぐには見えず、一枚一枚、葉をはがしていってやっと見えてきます。
でも、辿り着いたと思っても、簡単には食べさせてくれません。
そんな、この世の真理を表現してみました。」

ほとんど聞かれてからの思いつきで、答えてみる。

「素晴らしいアイディアですね。」

裏に華道家のサインと花丸が書かれた、生けた作品の写真をもらい、カルチャーセンターを後にした。

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